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冷間圧造の金型の構造に関する詳細

1・金型設計の流れ

圧造製品形状の決定

圧造が出来る限界を把握し、製品形状の決定をします。

工程レイアウトの決定

線材径を選定し、工程数・加工機械の選択します。また、工程間クリアランスの決定も

します。

加工方法の選択

工程レイアウトを元にして加工方法を選択します。

金型組図を作成

圧造力・エネルギーの計算をします。

加工方法を元にして、金型構造を設計します。

各部品図の作成

金型内部応力の算出します。そして材質を選定し、超硬等の寸法・圧入代・焼きばめ代・

熱処理などの決定をします。

上記の流れの後に実際に金型の試作を製作し、品質・コストの基準をクリアしたものが量産されます。また、試作や量産の結果からフィードバックしてより良い品質の製品にしていきます。

2・加工方法の分類と金型構造

  • 切断
  • 据込加工

→開放据込(固定ダイス・固定パンチ)半密閉据込(スライドパンチ)密閉据込

  • 絞り加工

→開放絞り(開放絞りダイス)密閉&半密閉絞り(密閉絞りダイス)

  • 複合加工

→据込と開放絞り(口元絞りダイス)

  • 複合加工、穴あけ加工
  • 据込み加工(組立式ダイス)
  • 穴あけ加工(スライドパンチ、スライドダイス)
  • せん断加工

3・据込加工の金型構造

(1)開放据込

①固定ダイスと固定パンチ

固定ダイス

  • ダイスインサートとダイスケースを圧入・焼ばめします。
  • ダイスインサート寸法(ΦD,L)の決め方はダイスケース寸法に制約がある場合と製品寸法から決定する場合があります。

固定パンチ(予備成形用)

  • 基本的なインサートなどの決め方は、固定ダイスと同じになります。
  • パンチ設計の注意点はパンチライナーを使用すること、PKO使用時のストローク、

パンチインサートの受圧構造(L1寸法、ΦDとΦD2の寸法の関連)です。

②短い切断ブランクの為のパンチ

  • スプリングの代わりに、PKOピンにブレーキを追加する方法もあります。

固定パンチ(仕上据込用)

  • ダイスとのクリアランス寸法を設定するには、T≒1/2×頭厚で計算することができます。
  • パンチインサート寸法を決定するには、d1=頭径×2又は頭径+5~10とℓ1≧0.6
  • d1で計算することができます。
  • パンチ「はちまき」径の設定するには、d1>0.6×パンチホルダー穴径の時d1≦0.6d2になるようにします。また、ℓ2=前死点-(T+2)で計算できます。
  • 組立方式は固定一体形と交換形(圧入・ネジ止め)があります。

(1)半密閉据込

①スライドパンチ

  • スライド量を設定するには、スライド量=(素材長さ-成形高さ)+2~3ⅿ/m(パンチコッター調整量など)で計算できます。
  • スライドが延びきった状態でのパンチピン・パンチ保持長さの確認が必要です。
  • パンチスプリングの荷重設定を変えると生産速度に関係することになります。
  • パンチ成形形状には、成形外径と成形高さ(成形完了時、パンチがダイ面より浮き上がることもあります)の制限があります。
  • 芯振れ対策をするには、パンチスリーブの保持長さ・パンチとスリーブのかん合・材質に注意する必要があります。
  • パンチスライド量とトランスファーでの搬送長さを確認します。

②組立式ダイス

  • 成形位置の分割
  • 一体型ダイスのデメリット

応力集中

2方向の内圧によるダイスの破損が起こります。

○エアー・オイルの封入

エアー・オイル・ボンデのカスなど不純物が混ざることがあります。

  • ダイスの分割方式
  1. インサートニブ
  2. インサートダイス
  3. ダイスケース
  4. 外インサートニブ
  5. 内インサートニブ
  • 組立式タイスの構成は、ダイスの形状を縦割り・横割りなのかを選択します。

次にニブ寸法の設定なのですが、超硬径と補強リングの径・ニブ厚T寸法(圧造力による変形量の予測)・テーパー角度の設定をします。そして、インサートダイスの設計とライナー(受圧版)の有無を選択します。

(1)密閉据込

①スラグ成形・端面矯正工程用金型

4・絞り加工の金型構造

(1)開放絞り

①開放絞りダイスの断面減少率は30~35%が最大になります。
②口元絞りダイスの断面減少率は20~25%が最大になります。

  • Φd0≒材料径×1.1として、L寸法を決めます。
  • 口元Rの内接径Φd1に注意します。
  • 次工程での座面形状(しわ発生)に注意します。

③組立式絞りダイス(長尺絞り製品に多用します)

  • 生産する時に一番消耗が激しいのは、①の絞りランドの部分です。

金型費用や製作上の問題などを考慮し、組立式ダイスを選びます。BとCのダイス径は、Aのダイスの絞りランド径よりも0.05mmほど大きく製作します。

(1)密閉絞り

①密閉絞りダイス

  • 角度やRで絞る理由は、ダイス押出角αによる棒押出中の変形やダイス角度の押出圧力に及ぼす影響などがあります。
  • 密閉絞り用ダイスの形状には角度絞りとR絞りがあります。

角度絞りの計算はθ=90°~120° Φd2=(Φd1+0.05~0.10) R1=0.2~1.0で計算できます。R絞りの計算はR=D-dです。

  • ダイスの設計をするには、絞り開始位置を決め角度絞り・R絞りのどちらかを選択します。(ランドとリリーフ)そして、超硬の径と長さ、必要とするKOの長さとKOピンを選択して決めます。
  • パンチの設計をするには、1/2×前死点を計算し、ダイス面とのすきまを決めます。

次に、パンチピンの設計をします。方法はd=ダイス穴径-0.05≒材料径 D=d+1~2付近の整数 L=≧1.5Dで計算します。ピン頭部は、径≒D+2~4 厚み≒径×0.8位の整数で計算できます。そして、パンチスペーサー(径:パンチ径の1/2)とパンチライナー(厚みT≒前死点寸法)を決めます。

(1)半密閉絞り(スライドダイス)

  • L1+L2+スライド量+5≒切断長となるようスライド量を設定します。
  • KO・PKO量の確認をします。KO量を確認する方法は、KO量=L2+スライド量になります。また、実際に製品のKOに使えるPKO量はM/C仕様のPKO量からダイスのスライド量を引いたものなので確認が必要です。

5・穴あけ加工の金型構造

(1)密閉穴あけ

①穴あけピン(カウンターパンチ)の形状

A°=6°~15° B=0.5~1.5mm C°=3°~5° D=押出される穴径

D1=D-0.05/0.15mm

②ダイス側での穴あけ

  • ダイス側で穴あけをするときは前工程ブランク長さ+5~10で穴をあけることができます。

③パンチ側からの穴あけ

  • ダイス側からの穴あけに比べパンチ側からの場合、PKOスリーブや穴あけピンを短くできたわみなどの対策になります。

④設計上の注意点

  • ピン類(特に穴あけピン)のたわみ量を考えた寸法を設定します。また、ピン位置を微調整できる構造にする事も必要です。
  • 穴あけピン(カウンターパンチ)はKO(PKO)時の抜きかえしの引張荷重での頭飛びを防ぐ形状を考える必要があります。
  • 受圧部面積の確保、脱着を簡単にできる方法にすることも注意点です。

(2)半密閉穴あけ

①スライドダイスでの穴あけ

  • 成形開始のとき、穴あけピンの保持長さ(L1)とスリーブの保持長さ(L2)は、それぞれ0.5d以上は必要になります。
  • 成形完了します。(前死点)
  • KO完了します。この時の最大製品寸法=最大KO量-ダイススライド量-(2~3mm)となります。

②スライドダイスの設計手順

手順1 対象ワークを決定します。
手順2 工程レイアウトを決定します。
手順3 ダイススライド量を決定します。

→手順2で決めた第1工程ブランクの首下長さℓ1より定めます。

「L1+Sd≧L0+1~2」

手順4 ダイ超硬の長さを決定します。

→「超硬長さ=L+Sd+(5~10)」。この寸法は、穴あけピンのテーパ部やダイススライドがのびきった時のピンを案内するために余裕を持った数値になっています。

手順5 穴あけピン長さ・KOピン長さ・KOスリーブ長さを決定します。

→穴あけピン・KOスリーブ・ダイス超硬部などのクリアランスは製品寸法や要求精度によって変わります。

手順6 ダイス全長を決定します。

→ダイススライドがのびきった時、KOスリーブの案内が5~10m/mは確保できるように決めます。

手順7 ダイスライナーの厚みを決定します。

手順8 スライド用スプリングを選定します。

(3)エアーと油抜きについて

①据込ダイス(主としてエアー抜き

・ニブ裏面にも3~4箇所エアー抜きを設けます。通常は内径まで貫通させないが、製品によっては貫通することもあります。

Φd:製品の接触径(外径) Φd´:圧造力の伝幡する径 Φd1:インサートダイスの逃がし径(Φd´より大きくします)

②絞り、穴あけダイス(油を多量にかける場合)

・ダイス外周にもΦ5~Φ10の穴を貫通させます。

・円周上3か所に配置することで、ピン・スリーブのガタつきを防ぐことができます。

・エアーと油抜きは、成形部から離れる程次第に大きくなっていきます。

6・せん断加工の金型構造

(1)切断加工

①通常のカッターとシャーダイス

ΦD:シャーダイス外径 Φ:線材径 Φ:シャーダイス穴径 Φ:Φd0+a

Φ:カッター穴径 Φd2:Φd1+b

Φ≒1.5~2×Φd1 L=1~2×d1

②特殊なカッター形状

・R形状のカッターとシャーダイス

A=カッターとシャーダイスのクリアランスは通常、線材径×0.03になります。

柔らかい線材には通常より大きめのクリアランス、硬い線材には通常より小さめのクリアランスが最適です。

B=通常 1.0×線材径 最大 2.0×線材径

C=0.37×線材径。柔らかい線材にはこれより大きく、硬い線材にはこれより小さくすることがある場合もあります。また、全くこの逃げを使わないこともあります。

Dq=①を参照にしてください。

Dc=Dq+0.05mm+0.08mm

R=線材径

・テーパー形状のカッターとシャーダイス

(2)トリミング加工

①パンチスルー方式

・製品スルー方向の径は製品径<Φd<Φd1<コッタースリット巾になります。

・カス落とし対策はダイス前面の逃がし形状Aの部分になります。

・抜きばり対策はトリミングパンチ寸法とダイス全面の寸法Bの部分になります。

・ダイスピンを保護する理由は、衝撃荷重によるダイスピンの頭飛び折損を防ぐためです。

・トリミング加工工程は原則として、軸絞り・しごきなどの負荷をかけない方が良いと言われています。

②ダイスリターン方式

・2D3B機でのトリミングに使用されます。パンチスルー方式と比べ、カスと製品の分離が不完全になります。また、トリミングパンチの寿命が短くなり金型構造も複雑になるといったデメリットもあります。

・設計上の注意点はL1が機械のトリミングストローク以上になります。また、L2は機械のPKOストローク以下に設定する必要があります。

(3)ピアッシング加工

①ピアッシングの原則

・ピアッシングの案内径 (D=ピアッシングパンチ径)

D2=D+0.10~0.15mm(D=4.5~10mm)

D2=D+0.15~0.20mm(D=10~13mm)

D2=D+0.20~0.25mm(D=13~24mm)

・抜きカスの厚さ

通常 T=0.5×D

最大 T=1.0×D

可能な場合 T<0.5×D

・このD2は、標準的な場合なので抜きカスの厚みや材質などで若干変えることもあります。

②ピアスピンとカス受けスリーブ

・ピアスピン レリーフ径が穴あけピンより大きくとります。

・カス受けスリーブのカス戻り対策にはエアージェットによる排出・スリーブ内径のピアス径とのクリアランスの縮小・カスを食い付かすために、スリーブ内に突起を付けるなどが考えられます。

③ダイよりパンチへのピアッシング

・トリミング(パンチスルー)と同じで、カス排出の穴径は出口に向かって次第に大きくしていきます。

・パンチスペーサー内の屈曲部(A)のRは出来る限り大きく取ります。

・ダイス側の構造は基本的に「5-(1)-①ダイス内での密閉穴あけ」と同じです。

④パンチよりダイヘのピアッシング

・パンチ側は「パンチ側からの穴あけ」のパンチ構造と同じです。

・カス受けスリーブは製品排出用KOスリーブと兼用となります。

・カス排出穴に対するスリーブ類の位置決めが必要になります。そのため、位置決めボルト(A・B)を加工しています。

⑤スライドを用いたピアッシング(中つば製品や外径形状を拘束してピアスを行いたい場合に適用します)

・カス受けスリーブはガイドスリーブに挿入され、その後ろからパンチスペーサーが挿入されます。パンチスペーサーとガイドスリーブはボルトAで繋がれ固定されます。

また、ガイドスリーブはボルトBでパンチケースに対して方向が決められます。

・ダイススライド量は、L+1~2mmとなります。なので、ピアスカスがカス受けスリーブの端面より1~2mm中に入るようにします。

・PKO時は、ボルトBにガイドされながらガイドスリーブ・パンチスペーサー・カス受けスリーブの3部品が一体になって動きます。この時、ガイドスリーブのカス排出溝はPKOが完了してもパンチケースのカス排出穴から外れないよう設定します。

7・KOピンの構造

(1)KOピン長さの原則

(2)通常のKOピン(支持されていない長さが10~12d以下)

・Φd=ダイス穴-0.02 ΦD=Φd+2~3(整数) L=ダイス長さ

(3)カラー付きのKOピン(支持されていない長さが15d以下)

・密閉絞り・トリミングなどのKOピンへの負荷の大きいときに有効です。

・M/ C仕様寸法(KOマスターピン径)

・ピン頭厚みL1/2+0.1 カラー深さL1/2-0.1としてがピンでるようにします。

・ΦD部は、0.3~0.5mmのガタを設けます。

(4)中間サポート式KOピン(KO長/KO径の比が10以上のとき使用します。

・L:KOストローク ・圧造するとき、図の状態となるようにℓ1・ℓ2を決めます。

・Φd1=Φd-(0.2~0.5)にします。

(5)テレスコープ式KOピン

8・複合加工の金型構造

(1)絞り加工と据込加工

・フランジボルトなどの比較的高荷重の製品は、ダイスの径方向が変化しやすいので注意が必要です。また、KO後の軸径のスプリングバックが大きくなりやすいので、予めダイス内径を小さくすることも必要です。

(2)穴あけ加工と据込加工

・2D3Bでの加工工程 切断→1D1P→1D2P→2D3Pになります。

  1. ダイススライド量をコントロールすることにより、穴あけ深さを調節することができます。コントロールすることによって、ダイス側KOスリーブの受圧を制限できるのでスリーブの破損を防ぐことにもなります。
  2. 本来は端面矯正を取り入れるのが望ましいです。

(3)穴あけ加工と絞り加工

①同一方向への加工

・密閉絞りが始まってから、穴あけ加工が行われるよう穴あけピンの端面はこの角より下がっていることが必要です。

・加工限界 断面減少率=D²-(D2²-D1²)/D²×100≦60%

穴あけ部の断面減少率=35≦εa[D1²/D2²×100]≦50%

②反対方向への加工

・穴あけ側(パンチ)の断面減少率>軸側(ダイス)の断面減少率→軸側をKOピンで規制します。

・穴あけ側(パンチ)の断面減少率≦軸側(ダイス)の断面減少率→穴あけ側をPKOスリーブで規制します。

9・トランスファーと金型設計

(1)トランスファーの種類

トランスファーを大別すると、平行移送(平行トランスファー)・反転移送(ユニバーサルトランスファー)の移送方法とクローズタイプ・オープンクローズタイプのクランプ方法に分けることができます。

①平行トランスファー

・定義 各工程製品をダイ前面で平行に移動させることです。

②ユニバーサルトランスファー

・定義 各工程製品をダイ前面で円を描くように移動させることです。また、円を描く途中で製品を反転させることです。

(2)トランスファーフィンガーの設計

①フィンガーの設計を行うための注意点

・工程ブランクの重心をなるべくつかむようにします。

・フィンガーのつかむ長さは出来る限り長くします。

・使用機械のタイミングチャートを使い、②で決めたフィンガー厚みでのトランスファータイミングの可否を確認します。

・パンチとダイスどちらかで、工程品を保持した状態でオープンかクローズできるようにします。

②トランスファーを考えた型設計とフィンガーの設計

・据込加工

・タイミングチャートを使い、Lpd(パンチ・ダイス間距離)=Ls(ブランク長さ)-

(Lp+Ld)での最大Lf(フィンガー厚さ)を決定します。

・Lpdが小さくて満足なLfが得られないときは、パンチスプリング・パンチ・ダイ・ブレーキ方式を使います。

・前方押出し加工

ページ43上の図

密閉絞りの場合、Lpd=Ls-(-Lp)-3=Ls+Lp-3になります。

その値からタイミングチャートを使用してLfを決定します。

密閉絞り加工の後、次工程に搬送するときにLfがLs2以上になる場合、フィンガーはD1をつかむ設計にします。Ls2以下のときはD2をつかむ設計にします。

Lsが短すぎてLfが次工程で得られないときは、製品にセンターをもらいブレーキ方式にするかパイロット穴を製品頭部にもらいパイロットピン方式にします。

上記トランスファータイミング用センターとは別に、前工程での穴あけ(前方押出し)のセンターが必要になるとき、平行トランスファー方式ではKOピンのセンターの寸法に注意します。基本的には、センター高さ<フィンガーとダイのすき間です。センターの高さが高くなりトランスファーの搬送の邪魔になってしまう場合、KOピン完了後にKOピンがダイス前面より下がるように戻してバネを付ける問題が解消されます。

・後方押出し加工

前方押出しと同じようにLpd=Ls+Lpになります。その値からタイミングチャートを使用してLfを決定します。

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