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超硬合金について

弊社が製造する金型の素材として数多く使用されるのが超硬合金です。

今回は超硬合金について説明してみたいと思います。

(1)超硬合金の成分

超硬合金は金属物質の中で最高に近い硬さ・圧縮強さを持つ合金です。その硬さはダイヤモンドに次ぐものとされ、ダイヤモンドの脆さを補い広い応用分野で利用されています。

一般的に使われている超硬合金はタングステンカーバイド(WC)・チタニウムカーバイト(TiC)・タンタルカーバイト(TaC)、を靭性の大きいコバルト(Co)などの原料を使い粉末冶金法という方法で製造されています。現代の金属加工産業で能率を向上させるための色々な刃具・工具・器具に幅広く活用されています。

(2)超硬合金の特性

特性1 硬さの特性は常温でも高温でも同じです。硬度の高い材種では、ビッカース硬度(HV)で1800あり、焼入鋼の900に対して2倍あります。このようにとても硬さがあるので、耐摩耗性がすばらしく焼入鋼の数十倍~数百倍の耐久性が得られます。一方硬い合金ほど靭性が小さくなります。大きな引張力や衝撃力が加わる物に使用する際は、硬度を犠牲にして靭性のある材種を使用する必要があります。

特性2 超硬合金の圧縮強度は600kg/mm²にも達し工具鋼の最高値である300kg/mm²の2倍もあります。

特性3 弾性係数が鋼の2~3倍になります。つまり、同じ荷重に対して変形量が鋼の1/2~1/3程度に小さくなるので、変形による精度の低下を防ぐのに最適です。

特性4 熱膨張係数が小さく鋼の1/2~1/4しかありません。

特性5 高荷重・高温でも他の金属と焼付きが起こりづらいです。なぜなら合金の主成分であるWCが非金属だからです。

特性6 正常な品質であれば変態しません。そのため加熱冷却を繰り返しても変質しない安定した合金です。不利な点は引張強さが比較的小さいことです。

(3)超硬合金の材質・種類と用途

一般的に使用せれている超硬合金はWC-Co系・WC-TiC-TaC-Co系に分けられますが、WC-Co系にも多少のTaC・TiC・Vc・Cr₃C₂などを添加したものもあります。

WC-TiC-TaC-Co系合金は鋼切削用刃具だけに使用されています。

WC-Co系合金は極めて一般的で用途が幅広く鉄・非鉄、岩石、陶磁器、ガラス、プラスチック、木材の切削に単刃・多刃工具として、ドリル、エンドミル、各種カッター、ロータリーバーなどに使われています。鑿岩工具として、ボーリングクラウン、コンクリートドリルなど鉱山・土木分野で戦後に革命をもたらしたそうです。さらに急速に一般耐摩耗用合金・耐摩耗衝撃用合金としての用途が拡大され、線管棒の引抜ダイス、プラグ、押出し型、絞り型、抜き型、鍛造型、成形型、粉末冶金用金型レースセンター、ノズル、圧延ロール、メカニカルシート、ドリルブッシュ、コレットチャック、ゲージ類、センターレスグラインダー用ワークレスト、マイクロメーター先端チップ、高圧バルブ、ボールペン用ボール、ボールミル用ボール、ケースなどで幅広く使用されています。

(4)超硬合金の機械的性質

・硬さ:ロックウエル硬さで測定するときには、とても硬いため硬度計の先端を損傷しやすいので荷重を最低にしたAスケール(HRA)を使用します。

硬度は(HRA)84~93で(HRC)にすると不正確ですが、HRC67~80程度であり焼入鋼の最高の硬さHRC66より常に高い数値です。また、ビッカース硬さ(HV)は鋼と同じ条件で比較できるので便利です。硬度はHV900~1850の範囲にあります。

・引張強さと伸び:一般的には測定が難しく、引張強さは5~150kg/mm²程度です。伸びは0.1~2%程度だと言われています。

・圧縮強さとポアソン比:これも「引張強さと伸び」同じように測定が難しく、圧縮強さの範囲は300~600kg/mm²です。ポアソン比は0.17~0.23であり、鋼の0.27~0.31に比べてとても小さい数値です。

・衝撃値:シャルピー値で0.1~0.3kg/mm²程度でとても小さく、一般的には使用されていません。

・抵抗応力:この数値は硬さと共に、一般的に使われており抵抗力と呼ばれ、その数値は通常100~300kg/mm²の範囲です。

・縦弾性係数(ヤング率):この数値は強度計算を行う上で重要です。基礎実測値は38,000~67,000kg/㎜²の範囲で、鋼の20,000~21,000kg/㎜²に対して通常2~3倍です。

・比重:WC-Co系合金は12.5~15.0でWC-TiC-TaC-Co系合金は7.0~14.0程度です。非常に重い素材です。

(5)超硬合金の機械的特性

・硬度

超硬合金の硬度はコバルト(Co)量が多ければ硬度は低くなります。

・抗折力

超硬合金の靭性はこの抗折力の数値で判断します。抗折力と硬度は逆の関係性があります。

・密度

密度は組成比率によって決まります。有孔度・焼結の過不足・酸化物・黒鉛・未炭化物などが影響します。

・衝撃の強さ

衝撃強さは機械的ショックに対する抗折力のスケールとなるもでコバルト(Co)量とは直線関係があります。

・磁気特性

抗磁力値は焼結の程度(再結晶の状態・内部応力分布)を知るための重要な製造事項となります。

(5)超硬合金を使用するための一般的注意事項

・超硬合金を使用する上での注意点

超硬合金をうまく使うには、その特質な性質を理解して有利な性質を十分に利用して不利な点をカバーすることです。

①超硬合金にどのような性質を求めるのか、それに合う材種を選びます。

②比較的弱い引張応力になるように補強設計をします。

③加工の際はクラックが発生しないように加工条件に気を配りましょう。

④熱膨張係数が鋼の1/2~1/3ではありますが、超硬部の過度な熱応力や引張応力が掛からないように注意しましょう。

⑤超硬合金は高価な素材です。超硬の使用部分は破損の恐れを防ぐために必要な部分だけにとどめましょう。

 

以上となります。

超硬合金の知識を深めてものづくりをより進化させていきましょう。

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